ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』を読みました。 有名な作品ですので本を読んだ方、映画を観た方も多いと思います。 私は2週間前にNetflixで初めて映画を観て、面白かったので本も読んでみました。 素晴らしい作品でしたので、簡単にですが紹介したいと思います。
あらすじ
あらすじをすごくざっくりいうと、「軽蔑し合っている男女がだんだんと惹かれていく、約200年前に書かれた英国のラブストーリー」です。(簡単に言い過ぎかもしれません。詳しくはWikiなどで。)
映画
◎ 観た映画
映像作品が1940, 1980, 1995, 2005年版とあるようですが、2005年版を観ました。
◎ 映画の良かった所
- 作中に流れる音楽が落ち着く・穏やか
- 自然・屋敷・庭園の風景が綺麗(本当の屋敷を3つ借りて撮影している。下記メイキングビデオで確認できます。)
- 衣装・美術品・舞踏会の様子なども細かい
- 俳優陣が魅力的
- 原作の重要な部分が忠実に描かれている
【映画の冒頭で流れた音楽】
ジャン=イヴ・ティボーデ - 夜明け (Jean-Yves Thibaudet - Dawn)
【実際の屋敷・庭園】
メイキングビデオ バーリーハウス(Burghley House)
本
◎ 読んだ本
本も色んな翻訳本がでていますが、2017年出版の大島一彦著を読みました。 素晴らしい翻訳本でした。 小説の翻訳はビジネス本に比べて何倍も難しいと思います。ましてやイギリスの古い言葉なんてさらに難易度があがります。 それをこんなに丁寧に読みやすく、かつ200年前の雰囲気を壊さない文章に訳してくれて、本当にありがたいです。
◎ 本で印象的だった所2点
1点目:
1点目はこの作品で頻繁に出てくる「自尊心(自負心)と虚栄心」に関する言葉。
【第5章】
本の比較的初めの方でミスター・ダーシーの無礼・無愛想な振る舞いについて議論している会話での、エリザベスの妹メアリーの言葉。
「自尊心とか自負心とかいうものは」と、自分の思索の確かさを自負するメアリーが云った、「人間誰にでもある弱点だと思うの。私はいろいろ読んでみた結果、こう確信していますーー自負心は実際誰にでもあるものであり、人間性はとりわけ自負心に弱いものであると、そして、現実のものにせよ、想像上のものにせよ、なんらかの性質を根拠にして自己満足の気持ちを抱かない人は滅多にいないものであると。
但し、虚栄心と自負心は別のものよ、これらの言葉はしばしば同じような意味で遣われているけれども。自負心はあっても虚栄心はないという人だっていない訳ではないんだから。どちらかというと、自負心は自分で自分をどう思うかということに関わっていて、虚栄心は他人にどう思ってもらいたいかということに関わってくる訳ね。」
ルーカス家の幼い息子が続きます。
「もし僕がミスター・ダーシーぐらいの金持ちだったら」と、姉たちと一緒に来ていたルーカス家の幼い息子が叫んだ、「いくらでも威張ってやるけどな。フォックスハウンドを一隊分飼って、毎日葡萄酒を一壜空けてやる。」
自負心と虚栄心の違いについてなるほど。というのと、子どもを続けて話させるのが面白いなと思いました。 (自負心が強く嫌われるダーシーと、純粋で好き勝手に振る舞うという子どもの対比。)
2点目:
2点目は主人公エリザベスの前向きな考え方と臆せずに発言する強さです。
以下は本の中盤で、エリザベスが自分の家族の振る舞いに苦しんでいるときです。
【第41章】
妹リディアのブライトン行きを止めるため父親を説得しようしたが拒まれたとき。
父親のこの返辞をエリザベスは甘んじて受け入れたが、それでも自分の考えは変わらなかったから、些か落胆し、残念な気持ちで父の許を離れた。しかし、くよくよ悩むことで悩み事を大きくするなどというのは、エリザベスの性分ではなかった。自分なりに義務は果たしたのだという思いがあったから、あとは自分の性分に逆らってまで、避けようのない不幸を気に病んだり、心に不安を抱くことで不幸を助長したりするようなことはなかった。
【第42章】
聯隊が去ってくれることで状況が変わるだろうと期待したが、実際は満足できるようなことがなかったとき。
頻りに何かを期待して待ち望んでも、それが実現してみると、概して期待したほどの満足は得られないものだということであった。従って、実際の幸福に与ろうと思えば、めげずに他日を選んでその日を幸福実現のための開始日と定めるしかなかった。つまり、何か別の目標に自分の願いと望みを託して、再び実現を期待する喜びを楽しみ味わうことによって、さしあたっては目下の自分を慰めつつ、さらなる失望に備えるわけだ。
姉と一緒に旅行に行けないことを落ち込んでいるとき。
「でも物足りないところがあるというのは」とエリザベスは思った、「むしろ幸運なことなのかもしれない。計画の段階ですべてが完璧だったら、結果には必ず失望が伴うだろう。」
急に旅行の行先が変更になってしまったとき。
何事につけ、足るを知るのが我が務め、明るく行くのが我が気風と心得るエリザベスは、すぐに気を取り直して万事それでよしという気持ちになった。
【第56章】
レイディー・キャサリンからミスター・ダーシーとの結婚について脅されたとき。
「そんな約束の言葉など私は絶対に口にしません。いくら脅されても、そんな理不尽なことはできません。奥様がミスター・ダーシーとお嬢様の結婚をお望みだからといって、私が奥様の望まれる約束をすれば、それだけでお二人の結婚がより確かなものになると、そもそもそんなことが云えまして?もしあの方が私に好意をお持ちだとしたら、私が申込を拒んだからといって、それならお従妹に申し込もうという気になるものでしょうか?」
「私はただ、自分の幸せは自分に良かれと思われるやり方で掴むつもりだから、奥様にせよどなたにせよ、私とまったく関係のない人が何を仰有ろうと気にしないと申し上げているだけです。」
「あの方が私と結婚したために御家族が立腹なさったとしても私には痛くも痒くもありませんしーーそれに世間は概して良識を心得ていますから、そんなことでこぞってあの方を嘲笑するようなことはないだろうと思います。」
エリザベスの前向きな考え・強さを見習いたいものです。
◎ さいごに
この本は200年も前の本なのに今だに人気で読み継がれています。 高慢、偏見、自負心、虚栄心、愛情など人間の本質をうまく描いているためだと思います。 時代は違いますが、登場人物に対して「現代にもこういう人いるな」と感じると思います。
内容はラブストーリーなので難しくなく、皮肉やユーモアもあるコメディタッチで面白く読み進められる思います。 是非読みでみて欲しい作品です。
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